しびれとは
しびれは、手足に力が入りにくくなる「運動麻痺」と、正座のあとのようなジンジンする「感覚の異常」の2種類に分けられます。どちらかのみが起こる場合と、両方が同時に起こる場合があります。運動麻痺は、脳から手足を動かす命令を伝える運動神経の経路に障害が起こり、手足に思い通り力が入らなくなったり、筋肉が衰えてしまいます。一方、感覚の異常は、手足の感覚を脳に伝える神経の経路に障害が起こり、しびれや感覚異常が表れます。また、血流が滞る循環障害においてもしびれは発生します。
手のしびれ
■頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症
頚椎と呼ばれる首の骨の間でクッションの役割をしている椎間板の変形などにより、痛みや手の動かしづらさなどの症状が出る病気です。従来は中高年に多い病気でしたが、最近はパソコンやスマホを頻繁に使用する若い人でも多くなっています。
■胸郭出口症候群
手がしびれたり、腕に力が入りにくくなる神経の病気の一つです。胸郭出口は首と胸の間にある通路です。脳から伸びる神経が、頸椎から肋骨と鎖骨の間を抜け、脇の下を通って腕に行きます。首から脇の下に抜ける際に神経が圧迫され、症状が出るのが胸郭出口症候群です。
主な圧迫カ所は、首の横の筋肉である斜角筋(しゃかくきん)の間、肋骨と鎖骨の間、脇の下になります。
■肘部管症候群
手の指先の運動や感覚を司る尺骨神経に障害が生じることを指します。尺骨神経は上腕から前腕、最終的には指先に至るまで広く分布しています。この部位が障害されることで肘部管症候群を発症します。小指側のしびれや握力の低下などの症状が見られます。手の動きに不自由があると日常生活への悪影響が大きく、QOL(生活の質)が低下することもあります。また、肘部管症候群は、大工さんのように手に慢性的な負荷をかける仕事に従事している方が発症しやすいです。
■手根管症候群
指先の感覚や手の運動などにかかわる正中神経に障害が起き、手のしびれ、痛みなどが起こる病気です。妊娠・出産期や更年期の女性に多く見られる傾向があります。そのほか、骨折やスポーツのしすぎなどが引き金になることもあります。夜間から明け方にかけて強い痛みを感じ、手を振ったり、曲げ伸ばしをすることで多少痛みが和らぐなどの症状が特徴的と言われています。
足のしびれ
■腰椎椎間板ヘルニア
腰痛やぎっくり腰のような症状が認められ、数日後に、一側の下肢へと放散する激しい痛みや「しびれ」が生じます。この痛みやしびれはとても強く、ほとんどの場合、満足に動けず、睡眠も妨げられることがあります。しかし、この痛みや「しびれ」は2-3週間でピークを越えることが多く、その後、徐々に痛みやしびれが薄らいでいくことが多いです。症状は一側下肢のみであることが典型的ですが、両下肢に症状が出現する場合や、排尿や排便に障害が認められる場合もあります。
■腰椎脊柱管狭窄症
脊柱管(せきちゅうかん)とは、椎骨が連なってできたトンネル状の管のことを言います。管の中には脳から続く脊髄神経が収まっており、脳脊髄液で満たされています。脊髄神経は腰椎部では馬尾神経や神経根になっています。腰椎の脊柱管狭窄症では、腰から下のしびれや痛みが出現します。歩いているとお尻や足に痛みやしびれを感じ、休むと楽になる。それでまた歩くと再び痛くなるといった、間欠跛行(かんけつはこう) と呼ばれる症状がとても特徴的です。
■梨状筋症候群
坐骨神経は、骨盤からでて足へ向かいますが、その際、梨状筋という筋肉のすき間を通ります。この筋肉が硬くなってしまうとお尻に痛みを起こしたり、側を走る坐骨神経を圧迫してしびれが表れます。このような状態を梨状筋症候群といいます。